Beach on Beach - Trimmed Utopia
2022.07.30 - 08.31|勝浦海中公園内
美術家・音楽家であり、アートスペース「The 5th Floor」や「TOH」、暮らしの実験場「TŌGE」の立ち上げを行ってきた立石従寛(たていし・じゅかん)が勝浦海中公園内にて新作インスタレーション「Beach on Beach」を展示する。本作は「海岸線アートプロジェクト」に先駆けた作品としても立ち位置する。
本作は、勝浦の土地やユートピアをテーマに、浜辺に浜辺を積み上げることによって、人による浜辺=太古の記憶への影響を浮き彫りにする、エコロジーアート、あるいは環境インスタレーション作品である。
1.5m高、約70㎡の人工的な砂浜にはパラソルやビーチチェアが設置され、鑑賞者は作品に上がってビーチのように過ごすことができる。
身体に刻まれた砂浜の記憶が揺らぐ違和感を体感いただきたい。
“勝浦はリアス式海岸が続く断崖の地だ。砂岩が積み重なった層が荒波によって侵食され、忘れ去られた過去の記憶=地層がむき出しになっている。岩壁と海を見比べていると、海抜0メートルにあるこの浜辺が、地層の重なる以前の太古からあることを思い出す。
そんな勝浦の浜辺に、積み重なることのない浜辺を、人工的で切り取られたユートピアのように、あるいは地層のように、記憶の更新として重ねてみる。失楽園の以前、エデンの園の頃にもどりたいと強く想うノスタルジアが、「いまのここ」に「かつてのかなた」を思い出させる。
パラソルの下、ビーチチェアに座ってみると、足元の砂浜と下にある波打ち際が同時に見える。水平線は普段の目線より少し高くあり、もう一つの水平線がぼんやりと浮いて見えてくる。降りると足の裏でシーガラスやプラスチックが混ざる漂流物を感じる。こうして、浜辺が太古より変化し続けていることに改めて気付かされる。
この星を水平につなげる浜辺を、ほんの少しだけ切り取って垂直に重ねる。本作に上がって、まるくこの星を見下ろしていただきたい。”
会期|2022年7月30日(土)—8月31日(水)
会場|勝浦海中公園内 千葉県勝浦市吉尾174
開廊時間|鑑賞、体感ともに24時間
閉場日|無休、ただし8月11日—16日は鑑賞のみ
入場料|無料
主催|eden restaurant&spa
協力|Salt group、davo.、瀬戸山七海
※作品には一度に三名まで上がっていただけます。