It Is That It Is|その - それら
The Moon That 336,666 People Look At | 336,666人の見る月
KYOTOGRAPHIE KG+ Award 2018
Curation
Yuu Takagi
Development Support
Xshell Inc., Nanami Setoyama
HOSTEL NINIROOM
April 11th - May 9th 2018
Jukan Tateisi explores how human creativity would be affected in the artificial intelligence era, where the reality integrates with the virtual.
Using Instagram hashtags defined as an interface of language, and its associated images, Tateisi reconstructs a large collection of images to propose “contemporary Ideas,” which contains the signified and signifier. This Ideas is a term constructs “id=it” and “ea=them”. By the interpretation, this series “Collective Idea” connects binomial elements in dynamic way such as image itself and image subject, man and object, individual and whole.
In this exhibition, the artist will show a new series by using everyday objects found at a hostel as subject-matter, where it becomes a meeting point of human body and memory.
立石従寛は、現実と仮想が交錯する人工知能時代における創造性の在り方を模索する。
インスタグラムのハッシュタグを言語とイメージの相関係と捉え、そこから収集した膨大なイメージを再構築し、イメージ自体とイメージが依拠する真理の双方を有する「現代のイデア」を表現しようと試みる。
本展では、ホステルを記憶と身体のミーティングスポットと捉え、これから想起する日常物のイメージを題材とした新作を展開する。
イメージの奔流、その溜を汲みとる。
現在、人類によって最も数多く産出されるもの。それはイメージだそうだ。一日に生み出されるヴィジュアルイメージは30億を超えるという。インスタグラムに代表されるソーシャルメディアがヴィジュアルイメージを核に機能している事にあきらかなように、我々はイメージの奔流に身をまかせている。
このことはインターネットに接続したスマートフォンにより、異常な生産性、ポストプロダクションによる爆発的な自己増殖性、他者との共有性などをヴィジュアルイメージが獲得した事に起因する。誰もがイメージを生産し、編集し、共有することが容易い時代において、イメージが生みだすリアリティは身体が感知するリアリティよりも何層ものフィクションを保有しているのにも関わらず、我々に現実味を与える瞬間がある。我々は身体により知覚された現実に仮想のヴェールを纏わせたイメージを、コミュニケーションあるいはエクスペリエンスとして内在化し、よりリアルなものとして受容しているのだ。この現代は現実と仮想が未だかつてないほどに混ざり合い、あまりにも曖昧な世界となっている。我々はこの世界に、止まり木としての絶対的なイデアを求め生きている。
本展において、立石はイメージと対峙する我々の現状を精緻に描写することで、人工知能時代における、人間とは何か、そして、人間の本質と言われる創造性とは何であるのかと我々に問いかける。そして、創造性を語るにあたり無視することのできない、現代のイデアを表出させようと試みるのだ。イデアを語ることはあまりにも短絡的であるようにみえるかもしれないが、立石はその崇高な響きが極めて現実的な側面を合わせ持つ事を自覚している。ラテン語である“イデア/Idea”という言葉は「見られるもの」を語源とし、“id=その”と“ea=それら”の構造体でもある。この文訳により、我々の目下にあらわれる様々な対象、その対象をそれたらしめるのは、それをも包括するそれらの存在が必要不可欠ある事を示唆する。つまり、ありのままのイメージとイメージが依拠する真理の双方にはじまり、リアルとフィクション、個と全などの二項要素が有機的に混ざりゆくのだ。
このイデアに限りなく接近するために、立石は言語とイメージの相関係であるインスタグラムのハッシュタグ機能を使用し、ある対象に関する膨大な数のイメージを集収する。その数万から数千万に及ぶイメージをAIを用い、アッサンブラージュ的に再構築する制作手法をとる。本展副題である33万6666人が見る月はこの手法を端的に表わしている。“Where Art Will Be”月に紐付けられた言語により集収した約33万ものイメージを集積し、月の本質つまりイデアを汲み取ろうとする。古来から我々を見つめ続けた月のもとには、人が認知しうる臨界点ともいえる時-空を司る作品が集う。普遍的でありながら、変化をし続ける時間のイデアを主に捉える“Comparative Study of Upload Time” シリーズ。普遍的でありながら、移動し続ける空間を主に捉える“Halo”シリーズ。これら作品群はHOSTEL NINIROOMのレセプションに佇む。ホステルには止まり木としての役割がある。この止まり木としてのホステルは異なる時差をもつ土地から訪れる人々をレセプションは迎え入れる。それが同時に本展の始まりとなる。
立石の作品は、ソーシャルメディアを介し集うイメージのミーティングポイントといえいる。イメージとは限りなく半透明で、それらが集積された彼の作品は、流れの中にある溜を覗き込み、その手で水を汲みとるような感覚へと鑑賞者をいざなう。そのイメージのミーティングポイントに重なり合うのが、人間の身体が流れ着き、留まり、また流れゆくホステルという場、身体のミーティングポイントだ。“イデアとしてのイメージ/現実としての身体” の集合、その境界における揺れ動きこそが立石のリアリティであり、現実と虚構の様々なレイヤーが折り重なる本展はその境界域に生まれうる創造性、イデアと対峙する試案なのだ。
髙木 遊
Far Side of the Moon
The artworks in this exhibition are procuded using system “Collective Idea” which Tateisi designed and developped.
“Collective Idea” scrapes images on social media that relate to a specific hashtag, analyse the visual and output a single image by layering, averaging and arranging categorised images.
In the near future, economic delation will be occured on technology of artificial intelligence as kids can use them. The system is implemented based on the situation so that is published on a software development sharing platform as opensource. The list shows the ssytem’s workflow below.
1. Selecting Hashtag
Firstly, Mikito selects a hashtag, which is capable to express subject, by decomposing context that subject has into object, movement, emotion and or space. This job is a progress that artificial intelligence has difficulty to reproduce, and that the artist assumes there is an important hint of what human creativity is.
2. Collecting Image
Hashtag is literary hashed in a motif for instance #moon, #moonrocks, #moonlight, #moontattoo or #moony. Although we can find much precise hashtag that contains 10 thousand images to scrape, major hashtags let the artist to download easily more than 10 million images. This job takes a half day to sometimes 3 days. Even social media down size each images into around 100KB, the total download data will be more than 50GB.
3. Image Analysis Using AI
Nevertheless with the hashtag, the visuals differ to each other. However, by pooling a large number of images, the system on the cloud will be capable to find out 10 to 20 categories that contains common compositions and objects.
4. Merging As An Image
Mikito chooses a particular category to output an image by layering, averaging or arranging. Within the layering, will of timeline will be reflected to the outcome and outliers will affect the visual in averaging.
月の裏に
本作品は立石の設計、開発した「集合的存在論 | Collective Idea」システムを用いて制作されている。
「集合的存在論」は、ソーシャルメディア上に投稿されたコンテンツの中からあるハッシュタグに関するイメージを蒐集、ヴィジュアルを分析し、近似するイメージの積層化や平均化を以て一枚のイメージを出力する。
近い将来にオープンソース化、或いは小学生のお小遣いでも利用できる程デフレが起こるであろう人工知能の技術を想定して実装されており、既にソフトウェア開発プラットフォーム上にて一部共有されている。本システムの制作フローを以下に説明したい。
1. ハッシュタグの選定
まず立石は、主題を表現するに適したハッシュタグを選定する。主題の持つ文脈を一度分解し、枝分かれした物や動作、感情、空間などから言語を抽出する。これは人工知能による再現が困難な過程であり、作者はこの過程に第一の創造性が宿ると考える。
2. イメージの蒐集
ハッシュタグはその名の毎く、親しいモチーフにおいても細切れに存在している。より限定的なハッシュタグであれば1万枚程をダウンロードするにとどまるが、対象が一般的なものの場合、その数はゆうに1千万枚を超える。これを半日から長ければ三日間かけて集める。ソーシャルメディアに投稿されたイメージはその規格に沿って一枚約100KBまで縮小されるが、蒐集したデータ量は少なくとも50GBを超える。
3. 人工知能を用いた画像分析
同じハッシュタグが付与されたイメージでも、そのヴィジュアルはそれぞれ異なる。しかし、大量のイメージを蓄えることで、構図やオブジェクトなどの構成が共通するカテゴリーが見えてくる。これをクラウド上で分析し,10から20ほどのカテゴリーを生成する。
4. 一つのイメージとして出力
分析したカテゴリーの中から特定のものを選定し、これを積層化や平均化、或いは配列化することで一つのイメージに出力する。積層化の場合にはタイムラインの意思が反映され、平均化には外れ値にあたるイメージが大きく反映される。
It Is That It Is
The Moon That 336,666 People Look At
KYOTOGRAPHIE KG+ Award 2018
HOSTEL NINIROOM
April 11th - May 9th 2018
Curation
Yuu Takagi
Development Support
Xshell Inc., Nanami Setoyama
Special Thanks
Sotarou Osawa
Mio Kawakubo
Chiaki Urata
Megumi Sasaki
Ryoma Otsuka
Marco Antrodicchia
Fabi-san
その - それら
336,666人の見る月
KYOTOGRAPHIE KG+ Award 2018
HOSTEL NINIROOM
2018年4月11日 - 5月9日
キュレーション
髙木遊
開発支援
Xshell Inc.、瀬戸山七海
スペシャルサンクス
大澤颯太郎
川久保美桜
浦田千晶
佐々木愛
大塚亮真
Marco Antrodicchia
Fabi-san